morisankunの日記

アラサー。

同人女アパートを建てたいって

度々ネット上で話題になる…いや、”なっていた”同人女専用アパートを建てる事を主題にした漫画が始まったらしく、オタク仲間たちが感想をこぼしていたので私も読んでみた。

漫画の一話の内容は、主人公が腐女子の夢「同人アパート」を作ろうと立ち上がり、具体的に動き始めるが厳しい現実に直面する…というところまで。

 

…うん、っていうか同人女アパートネタ…最近あまり見なくなったよね?

 

数年前まではTwitter上で

「将来は同人仲間数人で集まって同人アパートに住みたい」

「みんな一緒に修羅場で徹夜したり、推しのライブビューイングを視聴して盛り上がりたい」「同人女老人ホームとか楽しそう!ボケて昔の同人即売会の武勇伝ばっかり話したり、お婆ちゃん同士でカップリングで揉めたりするのw」

と言う同人アパート系のネタが頻繁にバズって盛り上がっていた。

でも、最近あんまり見なくなったなーと感じているのは私だけではなかったみたいで

同人女アパート漫画を読んだオタク仲間たちも一様に…ため息をついていた。

 

「この夢を見られないほどに、私たちはもう老いてしまった」

 

これに尽きる。

この漫画…いや同人女アパート概念を真面目に考えてみての一番の感想はこれである。

ツイッターの高齢化が激しい。

10代でツイッターを始めた私も30代に突入してしまっているが、ツイッターのトレンドワードを見ていると今は40、50代がメインユーザーになっているのかなと感じる。私ですら分からんくらい古いネタで盛り上がっているまさにインターネット老人会

 

そもそも同人女同士のルームシェア妄想が一番捗るのは20代後半ごろだと思う。

 

20代後半…いわゆる陽キャの同級生は結婚し、子供もでき始めてて

「私たちってもうそういう年齢になったんだなあ」としんみりしつつ

「でも…10代の頃と趣味も環境も変わってないし、今すぐお前も大人になれって言われても…私はまだ大人になりたくないよ(とっくに社会的には大人だとしても)、今をもっと楽しみたい…生活を変えたくない」と不安になり

「結婚したのは結婚願望が強い一部の子だけじゃん?一般的にはまださぁ…30までに目途が立てばって時代じゃない?まだ真剣に考えなくていいよね?」

と自分を多数派と思い込み現実逃避を始める(まあ実際今は20代は独身多数派だから間違ってはいない)

その現実逃避の一環が「同人女だけのアパートで住みたい」妄想だ。

 

自分は今の同人生活が気に入ってる。今の人生で満足してるから変わりたくない。

でも周囲の同人仲間が結婚で脱落していって一人だけ残されるのは耐えられない。

みんなで一緒に今の生活を続けようよ!という、つまるところ孤独に耐えられない女の叫びから生まれた夢。

 

漫画の主人公は前向きに同人アパートを作ろうとは、している。

当事者の感覚としてはシェアハウスの管理人になりたい、みたいな感じかもしれない。

みんなで楽しく、気楽に、昼も夜も他人に気を遣わない、夢のネバーランドを求めて

具体的に動き始めればアラサーの焦燥感、何かしなきゃっていう気持ちが満たされるし、明るい未来に向かって行っているような気持ちになれる。

不動産で上手くいけば不労所得ゲットだし。全部丸く収まる。全部が全部上手くいけば…

 

20代の頃は憧れるんだよね。同人女アパート。

大学生ノリ、モラトリアムの最終形態かもしれない。

でも実際に30歳に突入すると…「わかってしまう」

 

コミュ力が高くて、場の空気を和ませてくれる、グループの中に残って欲しい子。同人女アパートを作ったらぜひ参加してほしいセンスや求心力のある洒落た子…そういう子から結婚してしまうからだ。

 

結婚しない腐女子も勿論いるが、現実として

30代未婚、仕事が激務→漫画やアニメを見る時間が減り創作意欲が落ちる

30代未婚、仕事が非正規で不安定→将来の不安定さに精神を病み、創作意欲が落ちる

 

同人アパートを作りたーい!と騒いでいた時の元気は長続きしない。

晩婚化の今の時代、30はまだまだ結婚ラッシュ中だから

「将来一緒に同人アパートに住もうよ」なんて言ってた友達がサクッと結婚してしまい

あれ、あれれ、、と思っている間に今度は「このジャンルで出す本はこれが最後になります」という呟きが別方向から流れてくる。

ジャンルの旬は短いし、腐女子が描きたい萌えのパターンはそう多くはないので、原作の供給次第では1、2冊描いたらもう描きたいネタもなくなってしまう。

飽きたところで友達と示し合わせて一緒に次の流行ジャンルに飛び乗って、また盛り上がって…を繰り返すのも、やりすぎると周囲から嫌われるし、

年齢が上がって体力が落ちれば普通に新しいものに興味を持ちにくくなり、ジャンル移動も鈍くなる。

20代の頃、同人の流行りジャンルに飛び乗って、儲からなくなったら次のジャンルへとイナゴ…と言う「職業同人作家」生活をしていた多くの腐女子は、30代に突入して自分の絵が古くなったり創作意欲が枯れてしまうと、生活が立ち行かずそのまま実家に帰る。そういう人をたくさん私も見てきた。帰ってしまった後はみな連絡が取れなくなってしまうのでどうしているのかは分からない。

 

自分が30ってことは親は50、60…で、そろそろガチ目に老いが見えて来て

娘として好き勝手やって、困ったら親に泣きついて、サポートして貰って復活したらまた一人で好き勝手一人暮らし…という生活は親が健康なおじさん・おばさんの間は可能だけど、自分がおばさんになり、親がおじいさん・おばあさんになってしまうと…

泣いてもわめいても、昔には戻れない。

親の介護に戻ると言うよりも子供部屋おばさんになりに戻る腐女子の方が多いのかもしれない。なんせ腐女子として生活してきた時間が長ければ長いだけ、社会生活に復帰困難になってしまっているからだ。

 

オタクであり続けることそのものに年齢制限はないとは思うけど

アラサー独身オタク女の憧れる「全員独身のまま、全員オタ活への気力を持ち続けたまま、オタクという人格のみで現実生活を謳歌する」というのはかなり難易度が高い

 

親も老いるけど自分も老いる。

同人女アパートって「老い」たら成立しないんだよね。