morisankunの日記

アラサー。

つづ井さんを見て思った事

裸一貫つづ井さん

 

9月11日のトレンドにずっと上がり続けていた「つづ井さん」と言う人。

元は腐女子エッセイで有名になったアラサーの女性で、今回彼女の書いたnoteがいろんな人から共感を集めてトレンド入りしていた。

 

女性が自由に生きる事について書かれた文章だった。

アラサー女は苦労する。私も10代20代そして30代目前の今

ど真ん中でアラサー世代なわけだけど。今まで積み重なってきた「女の子」という役割への負担やひずみが急増して爆発するのがこの年代なんじゃないかなって思う。

世間の人が考える女の子は25歳くらいまで。だからアラサーというちょっと乗り遅れたけどまだギリギリ間に合うよ!と世間の人が憐れむ年頃の人々には、余計なおせっかいが集中砲火してくる。

 「女の子でしょ、今ならまだ選ばなければ間に合うから(選ばない幸せってなんだ)頑張って追いつきなさい!先に行った賢い女の子たちと比べてダラダラ出遅れていた分の怠慢をかみしめて反省し、心を入れ替えて女の役割に真摯に向き合うように。そして先行した女の子より幸せになれない自分はバカだと自覚して頭を下げて小さく生きなさい」と。

 

10代の頃から女子は恋をするもの、彼氏がいた方がいい、料理が出来ない女は糞女、気が利かない女もダメ、赤ちゃんが好きじゃなきゃおかしい、男の事を受け止められる心の広さがあった方がいい、賢さがあった方がいい、落ち着いていた方がいいけどちょっとくらい羽目を外しても「10代のうちは許される」とか

とにかくまあ、いろんな決まりの中で生きて来た。基本的には昭和的良妻賢母というゴールを目指すように言い聞かされてきたと思う。

男子も多分似たような苦労はしてると思う。「男ならこれくらい頑張れ」とか「男なら泣くな」とかその手の昭和的男らしさを求められること。

ぶっちゃけ男じゃなくてもたくましく生きていくためには乗り越えなきゃいけない物は沢山あると思うので強く生きろと言う励まし自体は全く無意味でもないと思うが、男だからということで人に頼れなかったり過剰な競争に身を置かされて苦しんでる人も多いと思う。

どっちがしんどい、と言う話は不毛なので飛ばす。そういう四角四面の押し付けから逃れたいと言うのが今日のお題だからだ。

 

つづ井さんは恋愛経験が少ないが、別に本人はそれを気にしていない、友達がいて趣味があって仕事があるから人生が満足しているタイプの人間だ。

本人が満足しているならそれでいい。それ以上何も語る事がないはずなのだが、

良妻賢母として子供を育てることだけが女の役割、人間の役割であると決めつけるタイプの人からは良妻賢母を目指さないこと自体が女として意識が低い、失格であると非難されてしまう。

面と向かって「お前女失格だよ」と言ってくる男性もいるし、言葉の端々に「そんなんで将来どうすんの?嫁の貰い手なくなっちゃうよ」と言ってくる年配女性もたくさんいる。私たち出産可能な年齢の女性は、出産可能な間中ずっとそれを言われ続けて、子供がいない、恋愛競争に負けている「不幸」というレッテルを貼られ、不幸な人間として社会で役割を求められてロールプレイする羽目になり………つらい日々を送る事になるんだけど

つづ井さんはそれを打ち破りたいと高らかに宣言してくれた。

 

理想的な宣誓だった。一夜の夢と化すだろうけど…

今日トレンド入りしたからと言って、明日からすべての女、男、年配の男女の意識が変わることは絶対にない。言い切れる。

つづ井さんがその人生を終える頃にはもしかしたら世間の意識が変わっているかもしれない。でも長く続いた「常識」という悪習は、一朝一夕では変化しない。

 

私はアラサーの女だ。平成の世を生きて来て、男女は平等だと思ってきた。だけど社会に出たらなんのことはない。親世代が私たちに呪いをかけていた「女の子は仕事頑張らなくてもいい。子供を産むのが一番の幸せ」という呪縛との戦いが本格化しただけだった。

親は年を取る焦りから私たちが10代の頃よりも包み隠さない言葉で娘を攻撃する。親自身のタイムリミットと娘の”賞味期限終了”に焦る。

孫は?どうして結婚しないの?将来どうするの。お母さんは心配で…

 

心配する位なら我が子に学歴と財産授けてやれよと思うわけだが

昭和を生きた両親にそれを言うのは無理がある。そもそも親自身は結婚出産をしている人間なのだから、結婚出産が人生の最良であると信じている人種なのだ。自分を産んでくれた人に言うのもなんだけどそういう価値観の人だからこそ子供を産んでいて、結婚出産どうでも良いという人は子供を産んでいないのだから、「親」である以上大なり小なり、そういう価値観の人だ。

私たち独身アラサーの女は、令和の価値観という新しい武器で昭和の…日本のほとんどの人たちと戦わなければいけない。

 

アラサー女の中には、つづ井さんがいうように戦いを放棄し思考停止して、相手の軍門に下る女も勿論いるから、戦う女の数は滅茶苦茶少ないだろう。

正しいと思って屈するわけではない。戦うのがしんどいから折れるんだ。

本音ではこんなに旗色の悪い戦い誰も参加したくない

でも黙ってたら奪われるだけっぽいから、行くしかない。戦争って悲しい

 

つづ井さんの決意は物凄く立派だった。だからこそ泣きたくなる。

つづ井さんがいつまで折れずに、旗を持ってジャンヌダルクしてくれるんだろうって。

私たちは大量の古い価値観を持った日本人と真っ向勝負する第一線、令和を生きる女たちだ。

そもそもこの戦いは、多分遡れば明治とか大正時代の女性解放運動につながっていくんだろう。

前線の私たちが倒れても、令和を生きる次の若い女、後輩の女たちが戦いを引き継いでくれるに違いない。教科書で勉強させられた平塚らいてうとか、あの辺りの人の戦いが時を超え形を越えて今の女につながって、未来の女にもつながっている。何て長い戦いなんだ。

でも昭和の女と比べたら平成と令和を生きる私たちにかせられた枷は随分と形が変わっているからきっと無駄な戦いではないと思う。インターネットのおかげで昔よりずっと情報が手に入りやすく選択肢が多い事が一個人の知るところにもなったから、そういう意味では昭和を生きる女よりも私たちはよっぽど迷いが多くてストレスも多いと思う。

ジェンダー戦争は物量戦でいつか終わりを迎える日が来るかもしれない

少なくとも日本で結婚する人は減っているから「そうは言ってもみんな結婚するんだから御託並べてないで努力しなさい」というのが無意味で、嘘だったと判明する日も近いと思う。

会社辞めますって言う時に「ここを辞める程度じゃ貴方の人生この先何をやっても駄目だから!」という上司の言葉は大抵嘘だ。上司自身が困るから言ってるだけで相手の事を思って言ってるわけじゃない、自分の選択を否定されて怒ってるだけ。それと多分全く同じ周波数で発言してるセリフだと思う。

実際に「そうは言ってもみんなが結婚する」が嘘だと判明して良いのかどうかはわからない。国としては子供減りすぎるのもやばいだろ。

 

だけど、私たちの人生は一度きりだ。自分の幸せって何だろう。

趣味があるのも幸せ友達がいるのも幸せ。推しの数だけ幸せがある。でも恋愛経験が少ないのは本当に不幸じゃないって事で大丈夫なのか?子供がいない人生にも幸福があるって事を信じていいのか?自信がない。今まで言われてきたことと話が違うから、自分の頭で考えなきゃいけない。自分の頭で考えて生きる…それは結構賢い人間にしかできない事だ。軍隊で言ったら参謀とか。ほとんどの一般人は兵隊アリとして育てられてるから、いきなり考えろと言われるとおろおろする。

人間にはキャパシティの限界もある。時間にも限りがある。命にも終わりがある。

どれを優先させたらいいのか自分で決められない女はきっとたくさんいるはずだ。

 

Twitterにもたくさんいる。例えば昨日の千葉の台風被害で赤ちゃんもちの人が液体ミルクのすばらしさを語っていた。

多くの人が賛同した、だけど待ったをかける人がいる。

「液体ミルクって本当に大丈夫なの?自分の子供に飲ませる気が起きないよ」

とか

「粉ミルクだって使えます。工夫が足りないんじゃないですか」

とか

「そんな事言っていいんですか?無責任じゃありませんか?」

とか

冷静な立場にいるふりをして、見えない誰か…古いルールにお伺いを立てている人。

本当は、多分変わる事が不安なだけの人たちだけど。

新しい物の魅力を知って、魅力だけじゃないはずだ、そんなに美味しい話があるもんかと警戒して逆張りをする人はたくさんいる。

人間はいろんな個性がある。それは環境が変わった時に一斉に滅びないようにするためだとか聞く。多様性を持たせた分だけ色んな状況に応じやすくなるから。

 

だから、みんなが「いいね」って言う事は絶対に今後もないんだと思う。

 

私はアラサー女だ。恋愛経験はそれほど多い方ではないし、正直な話あまり興味はない。10代の頃から恋バナにも興味がなかった。

自分の子供を抱きたいか?と問われると分からない。だって飼った事もない未知のペット飼いたいかって聞かれるようなもんだ。責任はペットと比べ物にならないくらい重いって言う分だけ手に入れるには不安がある。

「可愛いよ~でも20年は責任持たないといけないし、失敗したら大変なんだよ、子供は別人格だから自分の言いなりにはならないしそんな育て方もってのほかだけど、子供がしでかした事は親の責任になるからね。たまに逮捕や一家壊滅もある。お金は滅茶苦茶かかる、手に入れたからには責任持って世話しないとそれはそれで逮捕もされるし親やは親らしく慎みを持って子供の犠牲になる生き方以外は糞親認定するからね」とか…なにそれ重い…滅茶苦茶重いじゃん子供と言う存在…

育てられる?そんな生き物気軽な気持ちで手に入れたいと思える??

もはやなんで育てたいと思ったの?とすら思ってしまう

子供がいるから人生退屈しないという人もいる。30歳くらいになったらやる事なくなるから、子供がいていろんなイベントを経験すると自分が成長できるんだと。

そして自分より子供の方が大事になると…ほんとか?そうじゃない人間がいっぱいいるのを私たちはニュースを見て知っている。そもそも30歳でやる事なくなるか?趣味がある人間はいつまでも趣味の深掘りが続くから、全然退屈じゃないんだが

自分の遺伝子が残せるって言うのどんだけのメリットなんだろう…はるか昔地球上を支配していた恐竜だって滅びたのに。人間が遺伝子残しても全滅したら終わりじゃん…と宇宙規模で悩んでしまう。多分考え過ぎなんだろうけど…

 

経験していないことに恐れ過ぎたら何もできない。だけど情報が氾濫している今現代、普通に生きているほどに結婚出産のリスクが目に付く。

友達と楽しく趣味をして一生を終えたい。それ以上の幸せって何かあるんだろうか…そんな世の中で、

結婚出産が一番です!っていう人たちと戦わなきゃ、子供に怯えて暮らす事すら許されてないの…本当にしんどい世の中だなあ

 

せめて同世代の女たちが、みんながつづ井さんに賛同して少しでも楽に生きる事に戸惑いがない女が増えたらいいなって思う

だって折角戦おうとしても、同じ女に背後から撃たれたらなんにもならん

男は敷居を跨げば7人の敵アリとか言うけど

女は何人敵がいるんだろう。家の中にも親と言う敵がいる…

敷居をまたぐ前に、親世代から植え付けられた「常識」を振りかざし「ねえ本当に大丈夫なの?その生き方で大丈夫なの?」と不安を喚き散らし反論したり待ったをかける存在が自分の中にもいる。

自分すら自分の味方になってあげられない。悲しい生き物がアラサーの女だ