池袋の乙女たち
乙女たちの目から、私はどう見えるんだろう。
他人からどう思われるかに振り回されるのは思春期までにしておけ、とは思うけれども
人生山あり谷ありなので今は他人の目が気になる時期と言う事にしておきます。
冬コミがスタートして、私も久々にオタク仲間とオフ会をした。
アラサーで新しいジャンルに行くと自分が最年長になってしまう恐れがあるんですねえ…。今回まんまとそれでした。
元々いたジャンルはご長寿ジャンルだったから年齢層はかなり広くて、私で中堅くらいだったけど、最新ジャンルは20代がほとんど。10代もいたので三十路はなかなか肩身が狭かった。
さすがに十代の人から見て30の大台は引くのは分かるよ…仲良しの友達と放課後あそぼー!って集まった時に30歳が混ざってたらびっくりするし色々思うよね。この人30なのに子供と一緒に遊ぶのか?って。同じ目線で騒ぎにくいって感じても仕方ない。
そんな中に私もズカズカと踏み込んでいくのは違うと思うから、地方組のみんなが泊まるホテルでの二次会なんかは辞退させてもらって、帰りに久々に乙女ロードに寄った。20代後半だった二人も一緒に辞退してた。しゃーないよねこればかりは…。
同世代だから共感できる言葉っていうのがあるんだよね
例えば彼氏が欲しいとか、婚活してるとかいう話題で。今回25の子が婚活始めたって言ってて、「やっぱり27歳くらいまでには相手見つけておきたいじゃないですか、それ以上はもう売れないだろうし!」
って言った瞬間に27以上の人が引き攣って、それを察した19歳も引き攣るという悲劇が起きてた。19歳はあれ。まだまだ余裕がありすぎて婚活すらピンと来てないから25歳の人への共感の前に「これは失言だ」っていう空気を読み取るわけです。
で、19歳が「マズいっすよ先輩…」と言う顔をするのを見て25歳もアッ…となるこのムーブ…
年長組とはオフ会を一次会で離脱後池袋でお茶をして婚活の話をした。20代の二人は彼氏がいなくて、どうしたらいいですか?どうやったら出会えますか?と質問攻め…わかる、わかるよ。不安なんだよね。
いや私も、今は街コンで出会った彼氏がいるけど結婚の話をするたびに本当に結婚したいのかどうなのかは頭の片隅で悩んでる。30になって悩むことない、彼氏いるなら結婚に突っ走りなよ!って客観的には思うだろうけど、
30にもなると独身の楽しみ方も分かってきてひとりだからこその幸せ感じたりもするから結婚に進むのかどうなのか迷いが増える。
ネット上では確かに「結婚しなくても幸せになれる時代」って言われてるんだけど
現実には「27までに相手を見つけておきたい」って言って婚活する子は多い。
出産の事を考えたらその数字にこだわらざるを得ないしね。
面と向かって他人に「30歳で独身?あなたは売れ残りですね」なんて失礼なことを言う人はいない。今の時代は「結婚は個人の選択ですもんね」と言わなければいけない時代だから。
でも「27歳までに相手を見つけておかなきゃ!売れ残りは嫌~!」というのが本音だ。他人の事はどうでもいいけど、自分はそう思っているってこと。
そう思っている人がいる限り、30代独身の気が休まる事はない。
面と向かって言われてなくても悪口は悪口だ。自分に言われてなかったとしても自分の出身地や自分の所属を指して「あそこは嫌」なんて言われたら傷つくと思う。
人が嫌がるようなところに所属してるんだ私…と多少は卑屈にならざるを得ない
なんだかんだ若いオタクたちでさえも、永遠にオタク趣味で盛り上がりたいと言いつつ、30になったら落ち着きたい、って言うか30では勝手に落ち着いているだろうって思っているから。現実に目の前に30歳のオタクが来ると
「え?30でもまだオタクやってるんですか」と言う空気が漂う。
もちろん一人でオタク趣味を楽しんでいく分にはずーっと楽しめると思うんだけど、オタクって何だかんだ言ってオタク同士で交流するのも楽しかったりするわけです。
だから交流も込みで楽しむタイプのオタクには、この悩みが突き刺さるんだよね。
とりあえず20代後半の二人は婚活アプリを入れて帰って行きました。うん…気になるんならやっぱり婚活は一度はしても良いと思うんだよな。
「私は独身が良いです」って20代で腹が決まってる人は必要ないと思うけど
迷いがあるなら後悔しないように行動はした方が良いと三十路の私は思う。
30歳になると急に結婚が増える。20代の間はなんだかんだ腐女子仲間も独身が多くて友達みんな独身だから平気なんだけど30歳に突入するや否や。今年に入って結婚報告をもう3件頂いた。
「一緒に独身満喫してたじゃない。楽しかったのに、何で結婚するの?あなたが結婚しちゃったから私が行き遅れみたいに感じて嫌な気分になったじゃない!」なんて誰に怒りをぶつける事も出来ない。
今日はそんなやりとりの後乙女ロードをぶらぶらと歩いてちょっとしんみりした。
池袋は私が10代から世話になっている街だけど、変わったり変わらなかったり。
多分Kブックスとかまんだらけの場所は変わってないよね?微妙に拡大とか階が変わったりはしてるのか??何となく歩いてこの辺にあったよな~?って場所にあったのでビルは変わってないような気がしたけれど。
池袋でバイトしてた時に、先輩が昼休みに同人誌を買い漁って、帰りにKブックスに売りに行くという荒業をやっていたのをぼんやりと思い出して、当時先輩がハマってたジャンルの本を一冊買ってみたりなんかした。いやたまたまそのジャンルの棚の前を通って思い出しただけだけど。
その先輩が今どうしてるのかはわからない。就職する時に辞めて、お店もその後潰れてしまったから。
アニメイトカフェの窓をみて、昔はここがアニメイト本店だったんだよなーと思い出す。牛乳パック型のビル。
昔ここに一緒に来た友達は、数年前に亡くなった。妹さんから連絡が来てお葬式にも行った。Twitterでも時折訃報があがるが、同人界隈は無理な生活が祟って30前後で亡くなってしまう人がいる。
最後にその人と一緒に池袋に来た時に、一緒にグッズを買ったジャンルは今もコーナーが健在だった。まさかジャンルが死ぬ前に先に友達が死んじゃうなんて思いもしなかった。
池袋の中古ショップの棚には、軽く20年前に頒布された同人誌も並ぶ。玩具ならもっと古いものもいくらでもあるだろう。
20年前、私は小学生だった。自分が同人を知りもしなかった時代に活動していた描き手さんの本を手に取る。1990年代に本を出したこの人もまさか2019年にまで自分の本が残ってるとは思いもしなかっただろうな。今この人はどこで何をしているだろう。
久しぶりに歩いた池袋には10代や20代の頃の私がたどった道がそのままあって
10代の頃の私みたいにフリルがついてていかにも安い服を着ている腐女子や
20代の頃の私みたいに友達と一緒に行動している腐女子がたくさんいた。
乙女ロードはサンシャインビルの傍にある。サンシャインから出てくる人波には私より年下に見えるけどお腹に赤ちゃんがいますのキーホルダーをつけて旦那さんと腕を組んでる人やベビーカーを押してる水族館帰りのママ、彼氏と仲良さげに歩いている人がちらほらといて
私が10年後、この街に来るときに私は自分の子供を水族館に連れて行ったりしてるんだろうか…と何だか悲しくなった。
私が私の為に遊びに来ているこの街に、誰かを楽しませるために来る事はあるのだろうか。
もし私が子供を連れて池袋を歩きたいって心から思っているなら話は早かったと思う。
けど30歳の私が悩んでいるのはそうじゃないからだ。
10年後の自分を想像して、私が自分の子供をつれて乙女ロードを渡り切り池袋の水族館に来ていたとしてもなんだかむなしさを感じる事と
自分の為に相変わらず乙女ロードをうろうろしていたとしても、それはそれでむなしさを感じる事だ
どっちも嫌だと思う。だからどうなりたいのか分からない。
買って帰った本にURLが載っていたのでサークル主のサイトを訪れた。
2014年にはサイトの更新が止まっていて、それ以降どうしているかは分からなかった。
最後のブログを見るにアニメやマンガへの興味が薄くなっているのが分かった。
その人がおススメしていた同じジャンルの他の人のTwitterに飛ぶと、子育て真っ最中だった。
過去には何冊も本を出した人でも、今は全くオタク活動から遠のいて生きているんだなと寂しくなった。私だってずっと同じジャンルにいるわけでもなければ、池袋をぶらぶらしたのなんて何年ぶりだろうって感じなのにね。
池袋の街はやっぱり「乙女」の街なんだろうか。ほんの少しの若い時間にみんながちょっとだけ集まってくる街。乙女だった時期に作った創作物を置いていくタイムカプセルみたいな街
狭いマンションの入り口に消えていく二人連れの女の子たちを見た。
一見マンションだけどオタク関連のお店みたいだった。
ああ10年前、私もそういう小さいビルの中にある執事喫茶みたいなところに行ったなあって思い出す。
4人で行った。そのうちの2人とはもう連絡が取れない。
漠然と、まあ30までには結婚で来てたら良いけど今は良い相手が現れる気配もないし
そのうちそのうち、と考えを先延ばしにしていた。
25の時、結局このままじゃ自分が結婚したいと思えるほどの異性と出会う事はないのでは?と感じて今日オフ会で出会った25歳の子と同じように普通の出会いも探しつつ、保険として婚活を始めてもいいのかもと思い始めた。
売り手市場の時に一回は行って様子見とくか?って。皆が考える事だ。
そして大人数が参加する婚活パーティで29歳の女性と会話をした時に
「ああ29ってこんなに肌や髪が乾燥してるんだ…」と焦りを感じた。
きっと今日出会った子も、私を見て「30ってこんなにおばさんなんだ…」と思っただろう。
他の30代が子育てで忙しいのにこんなところに子供に交じって遊びに来ているこの人は「普通」よりちょっと「可哀想」な人なんだろうって思ったかもしれない
自分が29歳の時にはもう恋愛や婚活は卒業していたいと25歳の私は思った。
ただそう思っただけで卒業後どうなっていたいのかの想像はぼやけていた。
結婚するにしても諦めるにしても30歳、何で人生80年時代に30でコースを決めないといけないんだろうな・・・・人間の野生の寿命は38くらいらしいけど
文明ありきの世界では40くらいまで乙女でいさせてほしかった
叶いもしないけど私は40歳でステキな大人になりたいんじゃなくて
永遠に20歳でいたいんだろう。安物の服、安物の靴、ワンルームマンションに住んでいるのが当たり前。
25歳の若くて可愛い先輩が身近な人間の中で一番の大人。それ以上の主婦パートさんは自分のお母さんと同じ枠の人であんまりか絡みもないけどすごーい尊敬~子育て頑張って下さいとか、お子さんがいるのにイベントに遊びに来てもいいんですか?って無責任にはやし立てる。
28歳の独身の人が焦ってるのをみて「私は焦る前になんとかしよーっと」って言っておくだけで「えらい。将来の事考えてるね」って言って貰える20歳のままずっと生きられたら楽なのにな
割と真剣に「もし医療が発達して若返りが現実化したら、慌てて今決断を下さなくてもこのまま現状維持をしているのが正解では?」と悩んでしまったりしている。
私が20代の時に、初音ミクの3Dか何かを見ながら、「科学発達してきてるからそのうち二次元に行けると思う。だから現実の男性と結婚するのは待った方が良いかなって本気で思ってる」って言ってきた35歳の人を見て、この人何言ってるんだろうって憐れんだのに。
自分も同じことを考えてる。