morisankunの日記

アラサー。

4℃の地獄

いつごろからだろうか、クリスマスが近づくたびにTwitterで盛り上がるこの話題

「4℃ダサい問題」

 

事の発端は婚活アカウントの30代女性が婚活で会った男性から4℃というブランドのオルゴール付きアクセサリーをプレゼントされ「こんなダサいものいらない」的な発言をし、それにネット上の女性たちが同意をしたり、反論したりと盛り上がり…

 

以降クリスマスが近づくたびに「男性諸君は4℃をプレゼントするな」と警鐘を鳴らすツイートと、それに対する反論ツイートが入り乱れるようになった。

厳密にはこの騒動の前…メルカリが登場し、クリスマス後に4℃のアクセサリーが大量にメルカリに出品されていたのがまとめサイトなどに取り上げられ、

「風俗嬢が何人もの客に同じアイテムをねだり、一つだけ手元に残してあとは売っているからこうなっているようだ」

などという都市伝説がまことしやかに共有されていて

炎上した婚活女性のツイートは「デザインが可愛すぎて年齢に合わない」という理由以外にも「みんなが即中古に売るような商品を欲しくない」という感情も混ざっていたのではないかと思う。

 

最近では「4℃を嫌がる女は風俗嬢、一般女性は4℃に文句を言わない」という論説で「4℃批判の女性の口をふさごうとする男性」が最もこの話題の真ん中にのさばるようになってしまったなと感じる。ので流石にそれには反論したい。

4℃が良い悪いの前に、

一般女性を風俗女性を叩くための棒にしないで欲しい。

そういう自分たちに都合がいいように他人の存在を持ち上げる身勝手なところこそが4℃支持派(というより単純に風俗嬢を叩きたいだけだろう)として騒いでいる男性の嫌なところだと感じる。心が綺麗な人は何でも喜ぶなんて酷い押しつけだ。

もはや魔女裁判。無理難題を押し付けて、達成できなければ魔女だ!燃やせ!みたいなノリを令和に持ってくるな。

そもそも人間なんだから好みは人それぞれ、4℃を好む人も好まない人もいる。星の数ほどのアクセサリーブランドがあるんだから当然それだけの需要があるということだ。

4℃自体、10年前は普通に人気があったと思うが、毎年毎年炎上するから

ややこしい風評がセットになってるのなら、そういうのに無関係な他のブランドのキレイ目可愛い目のモチーフ探すよって特に思い入れのない私なら感じる…スタージュエリーとかヴァンドーム青山とか…いろいろあるし。

 

4℃と言えば、私の友人が初任給で4℃の中指用のリングを買っていたのを覚えている。

 

正直に言うと、あまり服のセンスが良くない子だった。

「買ったんだ!見て!」と差し出した彼女の指には、ホワイトゴールドの地金にいくつかのカラー石が付いた指輪が光っていて

学生時代に買った安いペラペラの服にいきなりパッと見て分かる専門店の宝飾品をつけてくるから、ぶっちゃけちぐはぐ感は否めなかったけど何よりうれしそうだったし

「自分のお給料でホンモノの指輪を買うなんて、すごい大人だ!」とみんなにも賞賛の眼差しで見られていた。もちろん私もだ。

指輪自体は素敵だとはあまり思わなかったが、指輪を買った彼女は素敵だと思った。

学生時代にバイトやお小遣いでホンモノの指輪を買ったとしてもそれは親の庇護下でお金の使い道ほぼ自由な状況下での子供の買い物だからちょっと違うし

お婆ちゃんやお母さんからお下がりを貰うのも(それはそれで素敵だが)また違う。

友人が初任給で買ったのは”自立の証”って感じでとても素敵な輝きだった。

彼女は初任給で親を食事にも連れて行ってた。

そうやって家族に使って、残ったお金で自分を輝かせるためにも使える

そのちょうどいい価格帯が4℃の指輪である。

 

こう書くと「やっぱり4℃を喜ぶのは素朴で若い女性で、嫌がるのはひねくれもののババアと風俗嬢だ!」と喜んで手を叩く男性がいるかもしれないがそういう話じゃない。

 

彼女は自分の給料で、22歳の時に、初めて自分の為に雑貨屋の数百円のものではない本物の指輪を買ったのだ。おじさんからもらったわけではない。

制服デートは学生同士が友達の輪から離れて下校時にやるからエモい。

ハタチ過ぎてからコスプレで制服着ても、あの輝きは得られない。

若者向けのアクセサリーも、同じ。その年齢だからこその輝きがある。

 

愛にはいろんな種類があるけど「俺がやったものは、お前が好きじゃなくても喜べよ」これは愛だと言えるだろうか?アクセサリーは女性が口を揃えて「好みが分かれる」という鬼門。そこにいきなり突撃していくのはあまりに無謀だ。

 

お母さんは何でも喜んでくれたから、いずれ結婚を考えているなら良いお母さんになりそうな家庭的な女性を探したい、と思ってなんでも喜ぶ女性が良いと言っているのかもしれない。

でもお母さんが子供のプレゼントをなんでもかんでも喜ぶのは”自分の子供”だからなんだよね。

 

「いやそうじゃない、人がプレゼントしたものは例え要らない物でも、相手の好みを無視してあげた物でも、悩んであげたという努力をありがたがって、それを好きになる努力もしない女なんて嫌だ!!無礼だ!!」と

相手の好みを理解できてない距離感で、あるいは好みを聞きもせずに自分の気持ちだけを押し付ける己の無礼は見ないふりして、一方的に彼女に礼儀正しさを求めることにこだわるなら、その価値観を受け入れてくれる女性か、同じ価値観の女性が見つかるまで探し続けたらいいと思う。

そのメンタリティはつまるところ「あなたの為にやってることよ」「どうしていい子に出来ないの!お母さんのことを困らせないで」と言いながら、子供の望まないことを強いる母親みたいなもんだが、それが好きならそれでいい。

 

もし出会ってそう間もない時期にクリスマスを迎えたのなら、

これからお近づきになりたいけど、まだ相手の好みがよくわからないそんな時は

アクセサリーなんて恋愛のクライマックスに登場する重いものじゃなくて、もっと人間関係序盤向けのお菓子とか入浴剤とかお茶とかなんか無難な消え物を渡しておけばいい。

そもそもデートする仲ならちょっとくらいヒントもあると思う。映画好きですーとか。それならもっと親密になる為にも一緒に映画に行ってパンフやグッズ買ってあげるとか、出会って間もない間柄の男女のクリスマスなんてそんなんでいい。

 

CHANELのコットン(消耗品)が良いと言っていた男性がいたが、それも悪手だと思う。「CHANEL!?」と相手に気を持たせておいて実は使い捨てのコットンでしたーとか、がっかりするなという方が難しい。普通の日や仕事で頑張ったとか何かちょっとした時にくれるなら嬉しいが、クリスマスプレゼントにあえて貰いたいものじゃない。

というかハイブランドは普通、まず、コットンだろうがバッグだろうが告白もする前の数回会っただけの人にあげるもんじゃない。関係が深まってから登場する選択肢だ。

女性経験の少ない男性がいきなり「そうだCHANELでコットン買おう」って思いつくはずがないことくらいみんな分かっている。

それでもそれをプレゼントしてしまうと相手に「気持ち」が伝わりすぎてしまうわけだ。

「1500円以上出したくねえんだよwお前なんかにプレゼントを恵んでやる俺に感謝しろよ」という気持ちが…。

 

彼女が一番求めているのは金品ではなく「彼女の話を聞いて、彼女を知ること」に他ならない。男と恋愛しようって思ってデートに来てるんだから、彼女はお互いの事知りたがっているわけだ。安物だからとか高級品だからじゃない、望むものは何なのかを知って欲しがっている。

一般女と会話をして、いろんな場所にデートをして、相手が本当に望むことは何なのかお互いに理解し合う関係を築いていけば「じゃあ結局何のアクセサリーをやれば満足するんだよ!!」というセリフは出てこないだろう。

いかにも恋愛といったこういうやり取りが嫌なら風俗を利用したらいいのだ。お金さえ払えばやり取りすっ飛ばしてプレイできるし、手っ取り早くヨイショしてもらいながらデートっぽいことがしたいだけならレンタル彼女やパパ活女がいる。

 

「クリスマスにはアクセサリーをあげるものだ」と思っている男性も、欲しいと思っている女性も多いが、”普通”の女性なら会って数回、彼氏でも夫でもない男性からまず貴金属を貰おうとは考えない。

「クリスマスにアクセサリーが欲しいな☆」というのはちゃんと交際に至って、その上で1年続いた記念とかそのへんで期待されているレベルの物。

 

他人へのプレゼントは難しいので(女性側から男性へもかなり難しい。というか同性間でも普通に難しい。ある程度相手の趣味把握してても難しい)

交際半年以上になっても何あげたらいいか分からない人もいると思うがそういう時も彼女に直接、あるいは間接的に聞いてみたらいい。何かヒントが貰えるはずだし

プレゼントに物はいらない、食事や旅行に連れて行って欲しいという子もいるだろう。

ここまで男側からのプレゼントについて書いたけど何も男性からあげるばかりではなくちゃんと交際してるなら普通は彼女からも何か用意があるはずなので、相手と金額をすり合わせるのも重要だ。

 

とりあえず女の子だからこんなかんじ?みたいなよく相手の事を知らないのに、”女の子だから”で選んだんだな…みたいなのが丸出しのものはあんまり嬉しくない。

結局のところそれが一番大きいと思う。

 

さて、4℃のデザインはダサいかダサくないかというと…私はあまり好きではない。

念のために書くが私は風俗無縁の、普通の恋愛してきて一般の会社で働いて割と普通に結婚したアラサーだから今となっては対象年齢外だけど20代の頃もそれほど好きではなかったので3万円程度のネックレスはいくつか持っているが一つも4℃のアイテムは持っていない。

もし私が中学生だったら、「大人が持つものを買ってもらえる」という部分に興奮して喜んだと思う。背伸びしたい年頃だから。

実際4℃ではないが高校生の頃似たようなピンクの石が付いたハートのネックレスを貰ったことはある。多分一万円くらいのものだったと思うけど。

それを眺めるのはとても好きだった。そして、案外これ使いにくいな…と気付いたのは大学生の頃だったと思う。もちろん人にもらった手前それを腐したことはない。

さんざん言われているように4℃の多くのデザインは”10代が持つなら可愛い””20代前半くらいまでならなんとかいける”。

値段的にもターゲットは10代~20代前半女子だと思う。

ファッションに年齢なんて関係ないでしょ!と言いたいが、

男子中学生が着るようなチェーンあみあみ、英字にドラゴン!みたいな厨二男子向けTシャツを、特段イケメンでもない中年おじさんが着ていたら自分だってちょっと避けるだろう。

好きな服を着たらいい。他人にどう思われても気にしなければいい。でも他人がどう思うかは他人の自由だ。

4℃はシンプルで使いやすそうなものもあるが全体的に少女趣味でそもそもトータルコーディネートが難しいデザインが多いな…とは感じる。

トータルコーディネートなんていう概念が薄い、お母さんが買ってきた服着てる中学生がアクセサリーとしてバランス全然考えずにつけるならともかく大人はそうはいかない。

服ジャージの癖にカバンだけルイヴィトンとか、髪ぼっさぼさのノーメイクなのにイヤリングとネックレスだけキラキラじゃらじゃらとか…そういうのはいわゆる「清潔感」がない、下品な人間に映ってしまう。

 

アクセサリーそれ一つで主役になるほど個性的というわけでもインパクトがあるわけでもないが、ピンク、ブルー、グリーンと色とりどりの宝石を使っていたり、はっきりくっきり星とかハートのデザインで主張して来るのでわき役としては浮いてしまう。

アジア人の肌に馴染むのが難しそうなパステル風の色味が淡い宝石を何色も、妙に少女趣味なデザインに使ってたり、逆に馴染む気ゼロな濃い色同士をぶつけてたりするので何色を基準にファッションをまとめていいのかもぼやける…。

 

イエベ・ブルベ、骨スト…という単語は聞いたことがあるだろうか。

イエベブルベはパーソナルカラーと言って、肌や目の色味から似合う色を診断する物であり、骨ストというのは骨格診断。骨の形で似合う服が違うから

自分に似合う色、似合う服をかっこよく着こなす参考にしてね!という診断である。

最近の若い女性はこれを基準に自分に似合うファッションを選ぶことが多く

そこに合わない色味やデザインの物を貰うと扱いには困る。

色も骨格も無視してお洒落に着こなせる人なら、もっと安いアクセサリーでもお洒落に着こなせるだろうし、安くていいならもっと安くて使いやすいものはこの世にたくさんある。

 

4℃がいいのだ、色も骨格も関係ない、好きな物を身につけたい!

自分の好きな物は4℃のデザインだ!という女性ももちろんいるが彼女がそうなのかは聞かないとわからない。

 

アクセサリーは難しい。それは女性ですら感じている。

10代は、アクセサリーが基本的に学校でも禁止されているし

親からのおさがりは10代が持つにはハイブランドすぎたり流行りの通り過ぎたアンティークのようなもので、なかなかラフに着こなすのが難しい。

結果雑貨屋さんの数百円~千円ちょいの流行りのアクセサリーを身に着ける。

まだ10代は身長も伸びて体型も子供体型から大人女性体型に変化するから服も結局数千円のワンシーズンのものだったりするのでトータルのバランスは案外取りやすい。

 

20代、社会人になると突然フォーマルな場所に行くとき、女性は化粧をしっかりして、華やかな装いをすることが「常識」「礼儀正しい」と突き付けられる。

100円のアクセサリーは本物のアクセサリーと並べると流石に違いが分かりすぎて、ちゃんとした場所にちゃんとしたものを持ってこない人は顰蹙を買う。

それまでファッションに興味がなかった人も、全く野放しでいるわけにはいかず

TPOをわきまえた服やアクセサリーを勉強して収集していくことになる

 

30代、母になる人とバリキャリ路線に行く人…そしてどこにも行けなかった人で大きく住む世界が変わってしまう。炎上した婚活女性がどこの人だかは知らないが

難しい年ごろではある。それがデートした相手を笑いものにした免罪符になるとは別に思わないけど。ただ30代で、彼氏でもない人に、頼んでもない若向けのアクセサリー貰うのはこまるというきもちは分かる。

 

私は今年のクリスマスも夫と一緒に買い物をする予定だ。去年はお互い欲しかった電化製品の交換会になったけど、欲しいものは相手に聞かないと夫婦だろうがよくわからん。

好きな食べ物は把握できても、物はその時々でやっぱり変わっていく。

「えっそれ?」みたいなものを欲しがられたり

逆にこっちも何にも思い浮かばなくって、偶然ウィンドウショッピングで見つけたものを買って貰ったりもするし。

 

彼女がどんな服を着ているのかを見ただけで明確に彼女の服に合うアクセサリーを選べるかというと難しいと思うのでやっぱり普通に一回は一緒に買いに行ってウィンドウショッピングでもしながらどんなのが好きか聞く方が無難だと思う。

それが出来ない距離感なら、二人の間にアクセサリーはまだ出番じゃないということで。