morisankunの日記

アラサー。

JK絵師の価値

「オタクは色んな年齢の友達がいる」

これは私が10代だった頃もそうだったし30代に突入した今も同じ。

10代のオタクは20代のオシャレなお姉さんオタクに憧れたり、40代のお母さんオタクに甘やかしてもらって末っ子ポジションで可愛がられつつも「一番将来性がある子、才能のある子」としてデカい顔が出来る。

そうなりたいと思って付き合っているわけじゃないけど、色んな年齢の人たちと接するうちにそういうポジションに収まりがち。

 

それは今の10代の子もやっぱり同じなんだなと思った。

 

10代の腐女子、A子の悩み相談に乗った。と言ってもそこまで深刻な物じゃなくて深夜の病みツイ、愚痴みたいなものだったけど

私も10代の頃、お姉さん腐女子に愚痴を吐いて慰めて貰ったことがある。

あーあれから10余年か…あのお姉さん今どこで何してるだろう。

 

A子は10代とは思えないほど上手い絵師で、それなりにフォロワーもいる。

でも彼女自身、自分の価値は「10代だから、若いから評価されているだけで、これが20代30代の絵なら凡庸で見向きもされないだろう」と察している。

確かに、彼女は”10代には見えないほど上手いけれど、10代絵師であるという付加価値がなければ割とどこにでも同じくらい描ける人はいるレベルの”絵師だ。

冷静な判断だと思う。多分10年後もそんなに伸びないだろうというのが彼女にも私にも何となくは分かる。

既に完成してるんだよね。

絵を本気で勉強して自分で自分の絵を描いている人の絵じゃなくて、アニメを見て描いたアニメ絵、「誰かの絵の模倣」止まりの絵師…それが今の彼女だ。

 

 

今完成してる絵を一度崩して再出発すれば伸びしろはきっとあると思うんだけど

彼女自身にその熱量がなくて高校を卒業したら絵を描くのはやめようかな…と言っている。

そして大学卒業したら死にたい、と。

要するに大人になりたくないわけだ。

アニメの絵を見ながら描いて、上手ね、天才だねって大人に褒められたい。だけ。

自分で努力して何かを生み出して、それを評価されたいわけじゃない。

 

こういうオタクは今までたくさん見てきた。

私もそうだったし私の友達にもそういう人はいた。

 

 

結論から言うと彼女は死なないしオタクも辞めないと思う。

このタイプの人はズルズルとオタク趣味にしがみついてしまう。人生から逃げてるだけだからどこにも行けず何にもなれずに同じ場所にい続けてしまう。

 

若さにしか価値がないっていう人は、ものすごく自分に自信がない上に、自分で「良い」「悪い」「好き」「嫌い」も決められない空っぽの人だ。

どういう服がかっこよくて、どういう職業がかっこよくて、どういう大人がかっこいいか、自分では分からない。判断できない、決められない。考えようともしない。

 

物知らずで何も他の判断材料を持ち合わせないからとりあえず目に見えている若さと言うルールだけにしがみつく。

自分が若いうちは特にそのルールは自分に有利に働くから存分にその価値観に染まってしまう。何もしなくても若い自分が強い、そんな気楽なことはない。

 

高校の同級生だった友人B子も「若いうちなら許される」「若いうちしか楽しめない」が口癖のようなオタクだった。

「長生きしたくない、30歳で死にたい」、というのもよく言っていた。

若さ=最強と言うルールだけを採用して人生を生きると

29歳以降の人生は負け確になる。

それを徹底して生きるならそれも別にいいのかもしれない

若いうちにしか価値がないと割り切って、若いうちだけを楽しんで

30歳からは惰性で生きることを受け入れて本当に苦しまないのなら。

 

30歳で死にたいと言っていた友達で今のところ死んだ人はいない。

ジサツって難しいと思う。生きることへの強い執着がないからと言って

死ぬことに執着することがイコールになるかと言うとそれとこれとは別なので。

B子も結果として30を超えた今も死んでいないけれど今度は40歳にはなりたくないと言っている

 

ただの現実逃避なんだよな…結局。

 

今10代のA子も、かつて10代だったB子も。私も。

 

私とB子が26歳の時に共通の友人C子が結婚した。C子は高校の同級生のC男と結婚したから結婚式はプチ同窓会になって、オタク友達以外の友達と久しぶりに盛り上がった。

 

交流が途絶えていた同級生のD子、E子、F子と連絡先を交換して後日改めて食事に行ったとき「B子と仲良くしてるのなら、いい加減B子に注意してあげなよ」と私が代わりに釘を刺された。

B子がC子の結婚式の最中にも隠れてツイッターをしていたこと

B子のファッションが10代の子向けでいい加減注意してあげないと恥ずかしいということだった

 

正直ツイッターはまあ…B子と遊びに行った時も目の前にいる自分との会話よりも

ツイッター見てる時間が長いのでは?と思うくらい目の前で起きたことをフォロワーに報告するから前から気になってはいた。

服装に関しては余計なお世話だと思った。別にその場にいたD子たちも特別イケてる見た目をしていない。

結局その日はB子の話はそのくらいで、D子たちはC子に続くために婚活に力を入れていて、そういう話で盛り上がった。私は転職したばかりで当面そういう話は縁がないと伝えて聞き役に回ったけれど私がB子の件を含めてD子たち側に付かないという空気はハッキリしたからそれ以降その子たちと会うこともなくなった。

結局自然に切れていた縁が、C子の結婚式という同窓会で一瞬温まったけれど改めて賞味期限切れが浮き彫りになっただけのような感じだった。

 

 

B子もD子もみんな年齢に踊らされているという点ではあんまり変わらなくて

流石同じ高校出身だな…とうすら寒くなった。

 

若さにしか価値がないという価値観は怖い。今の日本人はどうあがいても80歳近くまで生きるのに、30歳以降は無価値だと切り捨てると先が長い。

仮に30歳が平均寿命なら、10代にしか価値がないって言いきって、20代は惰性で30にコロッと死んで「若いだけの人生」で終われたかもしれないけどね…

 

10代のA子は10代の時にA子と似たことを言っていてそのまま30歳になったB子のことは知らない。

A子がB子と同じ人生のコースを走る確率は今のところ7割だと思う。

途中で人生を変えるほどの出会いがまだ10代にはあるかもしれないから

そうなってくれたらいいなって思うけど

オタクは頑固だから、自分を変えようとしないから

出会いを自分から拒絶して、このコースに居残ってしまう確率がそれなりに高いんだよな…と「30歳で死にたい」というA子を見て

(今30歳の私、立つ瀬ないな~)と思ったのだった。

 

「30歳の方が絶対に楽しい」という嘘は付かない。

「30歳もまあまあ楽しい。死ぬほどしんどいってわけじゃない」

「思い出はいつもきれいなので10代がきらめいて見えるのは本当」

「でも過去を忘れるくらい楽しい日もあるのも本当」

 

 

B子も、40歳までには死にたいって言ってるけど

それってひっくり返すともう少し生きてみてもいいってことだと思う

 

まあそんなもんなんだよね